今回は、Facebookで知り合ったマニア(笑)の方から、毎日放送「戦え!スポーツ内閣」第63回で落合博満氏が語った「打撃の極意」について見解を求められたので、ちょっと書いてみる。
まず、マニア氏のメールによると、番組で落合氏が語った要点は以下の通り。
1.構えた肩は動かすな。
2.コック、ヒッチを使ってスイングに移る前の予備動作を入れろ。
3.バットを引き出すには手を使え、下半身主導はダメ。
4.インパクト後、前足の膝を緩めろ(前の壁を作るな)。
YouTubeにある動画を見ると、落合氏がバットを持って実演しながら説明している。
落合氏といえば、2年連続を含む3度の三冠王を達成した超一流バッターで、間違いなく日本球界のレジェンドの一人。
僕ら世代(アラフィフね)なら、あの神主打法をマネたことは一度や二度ではないでしょう。
だから、結論から言うと、そんな落合氏の言葉はすべて正しい。
その言葉通りやって三冠王になったんだから、正解なのだ。
しかし、忘れてはならないことが一つある。
それは、落合氏にとっての正解が必ずしもみんなの正解ではないということ。
そして、このことを僕の母校の大先輩である榎本喜八氏は生前、次のように示唆していた。
「ロボットが違うんですから。」※
人によって目標、性格、プレースタイル、練習環境、身体能力などが違うのだから、やり方も色々ということだろう。
これを踏まえたうえで、次回から上の要点について一つずつ見解を述べていこうと思う。
やっぱりちょっとじゃ終わらなかった。。。
※『豪打列伝』(1986年、文春文庫ビジュアル版)151頁から引用(前後の文章も以下に引用)
榎本の言葉はときどき、理論の結び目が見えなくなって、こちらはあわててしまう。あるいは、榎本独特の言葉の使い方があって、しばしばとまどう、といってもいい。たとえば、いまやプロ野球界で打撃の職人ナンバー1、オリオンズの後輩でもある落合博満のバッティングはどうですか、と訊いたときだ。
「ロボットが違うんですから。ほどほどの生涯でしょ、おとななら。何も言うことないんですよね。おとなで自覚してやっているんですから。ほどほどの仕事をして、ほどほどの恋をして、ほどほどの月給をもらって、ほどほどのところで死ぬというのがおとなでしょう。ほどほどに練習して、ほどほどの待遇をいただく。それがおとなでしょうから。だから何も言うことはないですよ。ロボットが違うんだから」
この「ロボット」がわかりにくかった。投手がボールを投げてくれば、機械のように正確にバットを振って打ち返さなければならない、という意思、あるいは打撃の魂を入れる器、とでも考えればよいのか。私のハートと同じロボットなら、私が学んだ打撃術も教えることができるが、そんなロボットではないでしょう、とも言った。おや、随分つきはなしてるな、と瞬間思った。
素人がほどほどにわかろうとするのが、かえっていけないのかもしれない。